本好きの本紹介

たまに友人からオススメの本を聞かれる。もちろん本の趣味は人それぞれだから押し付けたくはないけど、何を読めばいいだろう?って本屋さんで悩んでしまう人の、少しでも参考になれば嬉しい。

HAPPY (幸せ)
BITTER SWEET (ほろ苦)
WONDERING (不思議)
AESTHETIC (美的)
DARK (闇)

の5つの気分から選書した。
ではどうぞ。

HAPPY代表
『夜は短し歩けよ乙女』
森見登美彦/角川書店

読んでいるとハッピーで、心に小さな花々が爛々と咲き乱れるような小説。まるでお祭り気分になれるリズムとテンポがすばらしい。恋愛小説なはずなのにククッと笑えるのは、ラムネのように爽やかな心を持ち、けど地獄のように不器用な主人公の奮闘記だから。背中をパンっと叩いて応援してあげたくなる。架空の京都大学のカオス感が最高。

BITTER SWEET代表
『袋小路の男』
絲山秋子/講談社

表題作『袋小路の男』はまさにビタースウィートな一作。指一本触れないがお互いの存在は必要という微妙な距離を保ったまま、片思いして12年の時が経つ。私はこういう恋愛に共感したくないなって表では言いつつも、心の奥底ではここまで惚れ込ませる人間と出会える日への期待を隠し持っているのかも、なんてね。
姪っ子との文通を描いた短編『アーリオオーリオ』も、淡く懐かしく、湖面を反射する光のような、静かな輝きをまとっている。

WONDERING代表
『月の満ち欠け』
佐藤正午/岩波文庫的

読んだあと呆然となるような作品が好きだ。『月の満ち欠け』はまさにそんな作品。「よくわかったか」と聞かれると「全然よくわかってない」けど、ぐるぐるぐるぐる頭を回転させられたその不思議な感覚ははっきりと身体に刻み込まれている。恋愛小説、という響き以上に大きな世界観を宿した作品。気持ち良いくらいに好き嫌いが別れる作品ではあろうが、この小説をつまみに語り合える友人がいたら昵懇の間柄になれると思う。

AESTHETIC代表
『楽園のカンヴァス』
原田マハ/新潮文庫

アンリ・ルソーの絵画作品を、街で見かけると立ち止まるようになった。この小説で味わった優しくて詩的な記憶が波のように押し寄せるからだ。
ルソーの代表作『夢』の真贋を巡り、才気溢れる男女が火花を散らし、謎を解いていくアートミステリー。
MoMA(ニューヨーク近代美術館)での勤務経験もあるほどアートに造詣の深い著者による独特な作品世界は、一度触れたら病みつきになる。

DARK代表
『儚い羊たちの祝宴』
米山穂信/新潮文庫

ダークでブラックなミステリー短編集。
封建的な上流階級に生まれたお嬢様や、そこから崩落した人々の鬱屈を描き出す。流麗で上品な文体で綴られる、狂気や皮肉。その行間にひしめくギャップが、読んだ者を釘付けにさせる。あえて部屋を暗くして読みたくなる、渋い味わいの物語。

終わりに

小説を読むことには、時空を旅するような楽しさがある。人間の想像力ってもしかしたら科学よりすごいと、しみじみ感じさせられる。これからの長い人生、どんな本と出会えるんだろうって、毎日ワクワクしている人でいたいな。

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