直訳できない外国語が好きだ。

Killing me softly.

この三単語の文字列を見たとき、なんともいえないメランコリーの靄が心にかかったのを覚えている。

初めて聞いたこの曲は、Frank Sinatra(フランク・シナトラ)のヴォーカルによるものだった。

哀愁、諦観、プラトニックな愛。
シナトラの形成する艶。
セピア調にくすんだ情景を思い浮かべる。

結局訳された邦題は、「やさしく歌って」。
歌詞ぜんたいを聞けばまあそうなっちゃうか、と思えるが、やはり、少し違う。

かといってそのまま、「やさしく殺して」ではないのだ。
そもそもKillに-ingがついているところからも、依頼形ではないのだし。

はあ、難しい。
答えを知りたいわけではないので、対訳も見ず、自分でも訳さず。

拙い英語でふんわり解釈するにとどめた。

この曲は女性歌手によってポップ調に焼き直しをされてヒットしているが、色々聴いた結果、Sinatraバージョンが一番好きで、何度も何度も繰り返し聴いてしまう。
しっとりというかもはやどろっとしていて、底なし沼みたいな雰囲気が合っているんじゃないかなあ。

私自身はこの曲を聴きながらSinatraにKilling me softlyを感じる訳だが…
なんでかそれが心地よい。

余談

アメリカ生まれのTさんと音楽の話題になり、「何を聴くのですか」と聞くと「フラン・スィーナテュラ↑だね。」という。
何度聞き返しても誰のことかわからないが、Tさんは「え、知らんの?」という顔で私を見る。よく考えたられっきとした「フランク・シナトラ」の発音だとひらめいた。閃光が脳天を貫くかのようなヒラメキ方だった。「ああ、フランク・シナトラのことですか!日本では ふらんく・しなとら と呼ばれていますよ」と言うと、鼻で笑われた。

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