意見を言うときがある。

意見は、必ずしも伝えたい相手にとってポジティブであるとは限らない。
その意見を受け止めて咀嚼する前に、相手は悲しさや怒りを感じてしまう可能性もある。

それでも意見を伝えなければならない日は、生きていれば必ずやってくる。

そんな時、私は「意見」を「適切な包装紙」で包み、丁寧に目を見て手渡ししたい。

どんなことでも、言い方ひとつで相手への伝わり方は変わる。

どんなに的を射た意見も、鋭いナイフのような勢いで突き立ててしまっては、受け止めてもらう前に相手の心が死んでしまう。

そうなればもう、意見を聞き入れてもらうどころの話ではない。

ナイフのような鋭い意見でも、どうしても誰かに渡さなければならない場合は、十分取り扱いに注意して、新聞紙や段ボールで丁重に包んだ上で渡す。

もちろん、これはたとえ話だ。

相手に安心して意見が届くように、言葉を組み立てたり、表情や話し方に気を払うということ。

どんなに正しい意見でも、科学的に1mmの間違いがなくとも、伝わらないのではその意見には価値がない。

パワーハラスメントやモラルハラスメントで語られるケースを見ると、大体が意見や言葉の梱包を怠り、ナイフやハンマーのまま相手に投げつけている場面が見受けられる。

ここで一つ強調しておきたいのは、包むための材料は、オブラートだけではないと言うこと。

オブラートでは溶けたり破れたり、心許ないこともあるものだ。

伝えたい意見に必要な梱包材を見極めて、相手に安全な形で届くように言葉を組み立てる。

梱包材は言葉の組み立てだけでなく、自分の身振りや表情・視線も含まれる。

梱包材で包まなかったショップは商品状態に関わらず星1評価を受け、梱包が適切で丁寧だとその評価が上乗せされるネットショップのレビューのように。

ほんの少しの手間が、相手に与える印象をがらりと変えるのだと、私は考えている。


ことばのきほん100

自分が言葉を使う上で前提にしたい「ことばのきほん」をじっくり100までエッセイ形式で綴るシリーズ。

※アイキャッチ画像は2019年12月に撮影されたものです。

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