本屋で何度も表紙を見かけたことがあるけど、
一度も手に取ったことのない本。

どこの本屋に行っても、
何年経っても本屋で表紙を見かける本というのは得てして名作であり、スルーする方が勿体ないのかもしれない。

そんな風に思わせる名作に出会った。

『西の魔女が死んだ』
梨木香歩/新潮文庫

登校拒否の状態になった中学生の少女が、田舎で暮らす祖母のもとで休養するというシンプルなストーリー。

難解な作品ではないので、
私がここであらすじなど話せば話すほど、読んだときの味が薄れてしまうだろう。
なので余計なことは書かない。

「西の魔女」こと主人公の祖母が教える”精神を鍛える”方法は、至極普通に聞こえる。

「そうね、まず、早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする」

(西の魔女が死んだ/梨木香歩/新潮文庫/69ページから引用)

しかし自分を見つめ直したとき、本当にこの至極普通をできているのだろうか。

自分に適した睡眠をとれているか。朝ごはんも毎日食べているだろうか。運動不足ではないのか。忙しくても規則的であるのか。

普通だからこそ、難しい。難しいからこそ、効いてくる。

慌ただしい日常に息苦しさを感じている人、ぜひ読んでみてほしい。


今日のブックマークは、
22歳になっても自分の居場所に迷える私の心に、じんわりと沁みてくるような言葉。

「自分が楽に生きられる場所を求めたからといって、
後ろめたく思う必要はありませんよ。

サボテンは水の中に生える必要はないし、
蓮の花は空中では咲かない。

シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、
だれがシロクマを責めますか」

(西の魔女が死んだ/梨木香歩/新潮文庫/162ページから引用)

仕事ですごく辛い気持ちになった時、転職しようかなと思ってみたり、いやいやそんな弱くてはいけないとか、私はいつも無意味な堂々巡りをしてしまう。

ただこの本でこの言葉に出会ってから、仕事で悩んでも、もう少し向き合ってみようとか、それでも無理だったら転職するのは悪いことではないと、勇気を持てるようになった。

サボテンが水中では咲けなくて、シロクマが北極で生きるように、私には私の、生きるのに適した場所を探せばいい。

それは決して、逃げではない。

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