私にはとっておきのドレスがある。
下北沢で買った赤いヴィンテージのワンピース。私はこれに”ヴィンテージ記念日”という名前をつけた。
 


 
下北沢に、とても状態のいい古着をそこそこの価格で提供しているお店がある。
私はそのお店を、見るだけのつもりで入った。店員さんにもそれを告げ、店を出ようとしたとき、目が合ってしまったのだ。この赤いワンピースと。

シフォン生地のクラシカルな形をした、鮮烈な赤のワンピース。うっすらと、控えめに主張する馬具柄がおしゃれ心を尚そそる。
プリーツのひだもしっかりとしていて、汚れもなく、予想以上の出費になること以外は満点だった。
試着するとさらに愛着が湧いた。体が小さくてヴィンテージものがハマりにくい私にも、程よい丈感とサイズ感だったのだ。

店員さんは靴やカバンやベルト、帽子までヴィンテージのものでコーディネートをしてくれた。
すると、鏡の中の自分は、まるで違う時代から出てきた女性のように見えた。

店員さんは、「古着が似合う人にはふた通りあって、小松菜奈さんのように現代風をmixしながら着るのが似合う人と、満島ひかりさんのように昔の時代を完全にコピーしても似合う人。お姉さんは後者です」と私をおだてた。

私はInstagramで出会ったLee MingAida Dapoのようにコスプレとも取られかねないほど全身をレトロなアイテムで固めることに憧れこそしていたものの、似合うのか、似合わないのかすらも知らなかったし、それを実際にしようともしてこなかった。でも今回、ここで試着したことで、全身でクラシカルに装い、違う時代から出てきた人のように振る舞うことができるのではないか、という自信がついたのと、意外にも似合っているということがわかった。

だからヴィンテージファッションの世界へ踏み出す決意をするための第一歩として、私はこのワンピースを買うことに決めた。
はっきりとした日付までは覚えていないけど、その日が私のヴィンテージ記念日。

このワンピースで旅行をした時、まず自分の一張羅を身につけていることに高揚感を覚えた。それに、このワンピースを着ていると背筋が伸び、エレガントに振る舞いたくなる。そのお陰かわからないけど、レストランなんかでは客として普段より丁寧に扱ってもらえたような気がする。

袖だけオーガンジーになっているところ、プリーツがとてもきれいなところ、袖口がふわっとしているのに最後はかっちり締まるところ。ちょっとお値段がした上質な品だからこそ、細部の美点がどんどん見えて、好きになる。

多感な人ならきっと、誰しもこういう格好がしてみたい、という理想があると思う。理想があるなら早いうちに現実にしてしまった方がいい。きっと人生はその方が楽しい。

Dress:Vintage (Oasis Blanc Shimokitazawa)

Photo by MARU
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