最近読書をサボりがちだったのだけど、絲山秋子さんの『袋小路の男』という短編集を読んで、あらためて 物語はいいな と思ったんです。

さておき夏って特別な気分になりませんか。
他の季節とはちょっと違ってどこか浮き立つような気持ち、火照る思考。

夏休みどこ行こうかとあらゆる避暑地を思い浮かべたと思えば、夏だけのメランコリィに取り憑かれてうだってしまう。
そんな不安定を夏のせいだ、暑さのせいだなんて言っていられない私は本を読みます。

読む保冷剤
『エドガー・アラン・ポー短編集』
西崎 憲 編訳

エドガー・アラン・ポー短編集

ポーの短編を読んだことはあるだろうか。
読んだことなくとも、エドガー・アラン・ポーの名は耳にしたことがあるかもしれない。
短編の探偵小説や、ゴシック小説(怪奇恐怖小説)で有名なポー。

訳によっては読みにくいものもあるが、西崎憲さん編訳によるこちらの短編集は日本語が自然ですっと入ってくるのと、短編のセレクトが素晴らしい
表紙が松井冬子さんな時点でそれとなく察していたが)

ポーの真髄を堪能できるこちらの書は、夏に読むと得体の知れぬヒンヤリ感を味わえること間違いなし。

読み進めるたびに体感温度が一度下がる
『儚い羊たちの祝宴』
米澤穂信

儚い羊たちの祝宴

流麗でひやりとした文体が、ミステリアスな世界にぐっと引き込んでくる。

五編いずれも”最後の一行”がキーポイントになる物語。なんとなくオチが読めていたとしても、結局ラストで呆然としてしまう。
氷で冷やしたブラックティーを片手に、暗くてじめじめと蒸し暑い部屋で読みたい。

行間の享楽
『悲しみよ こんにちは』
フランソワーズ・サガン

悲しみよこんにちは

十代の方に特に勧めたい。そんなに深い理由はないけど、私も十七で読んで衝撃を受けたし、フランソワーズサガンはこの小説を十八の歳で書き上げた。
多くの人にとって、読後感は爽やかなものでないと思う。考えさせられるのが苦しい。
ただ小説の舞台となるコート・ダジュールの眩しい情景や、瑞々しくも熟れた部分のある人物表現に触れると、読後はひと夏のバカンスを終えた気分になる。

京の夜遊びへトリップ
『夜は短し歩けよ乙女』
森見登美彦

夜は短し歩けよ乙女

これまで紹介した作品が陰だとすれば、この作品は陽だ。
京都を舞台に学生たちが繰り広げるどんちゃん騒ぎが、夏の遊びゴコロに火をつける。
全てのシーンが夏ではないが、読後はお祭りから帰ってきたあとのような錯覚に陥る。

私はこの小説を中学生の時初読して、京都大学に憧れ、その後も憧れを引きずり高校時代もそれなりに勉強を頑張れた。
大人が読んだら俄然京都へ行きたくなるのではなかろうか。

海と格闘する
『老人と海』
ヘミングウェイ

老人と海

読んでいて辛くなるほどに、苦しげなシーンが多い老人と海。
夏の終わりに読みたくなるような、短くとも壮大そして、熱烈な物語。

ヘミングウェイが好んで飲んでいたフローズンダイキリというカクテルは夏にぴったりなので、お酒を飲む人はぜひ調べてみて。

以上、自選の夏に読みたい小説5選でした。(2019年版)
もしお勧めがあればコメントで教えてください。

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